人力飛行機探訪記

鳥人間はじめ人力飛行機を見てきた記録をアーカイブ

三沢航空科学館 ACTIVE GALS 'CHicK-2000'

 

 

ACTIVE GALS "CHicK-2000"

チーム・アクティブギャルズにより制作された人力飛行機

かがみがはら航空宇宙博物館に収蔵されているHYPER-CHicK "KoToNo Limited"の姉妹機である。

1995年4月にプロジェクトを開始し約6年間をかけて制作され、2000年11月4日に下総飛行場にてフライトを行い、直線飛行距離331.238m、滞空時間46.45秒を記録した。

 

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記録飛行後は日本科学技術振興財団へと引き渡され、青森県立三沢航空科学館へ寄贈された。

2008年から2020年まで館内で展示されていたが、現在は格納庫に保管されている。

 

機体の特徴は主翼にストレススキン構造を採用している部分。

女性パイロットがストレススキン翼での人力飛行を行ったのはこれが世界初である。

 

機体諸元

主翼スパン: 26.6 m

全長: 7.12 m

機体重量: 31.0 kg

機速: 7.2 m/s

 

ストレススキン構造とは

骨組みと面材を一体化させることにより、全体の強度を高めようとする構造。

人力飛行機に用いられる翼型において高い構造効率が望める。

デメリットとしては変形予測の難しさ、加工難易度の高さ、メンテナンスが難しいことなどが挙げられる。

 

この構造を導入した機体の代表として、閉回路速度記録を持つドイツの人力飛行機・Musculair 2*1が挙げられる。

 

近年では、Birdman House 伊賀がCFRP製の応力外皮を採用している。

Birdman House 伊賀 Dボックス(試験翼)

 

通常のストレススキン翼は雄型、雌型を用いて製作されるが、ChiCK-2000においてはこれらを用いない制作方法が採用されている。*2

 

展示風景

館内の特別展示室にて展示。

中央に胴体、向かって左側に主翼、右側には解説パネルが並んでいる。

奥には尾翼とディスプレイが設置されている。

 

主翼

CHicK-2000の最大の特徴であるストレススキン翼。

主桁にはCFRP、リブは発砲スチロール、ストリンガーや補強材としてバルサ、そしてプランクはスチレンペーパーにガラス加工を施し、その上からフィルムが巻かれている。

 

主翼のカットモデルには素材や使われている素材について説明が書かれている。




 

テールビーム

剛性確保のため、CFRP パイプとケブラーを組み合わせた立体構造となっている。


コクピットフェアリング

リカンベント型のフレーム。CFRP製の角パイプを組み立てて作られている。

発泡スチロール製のフェアリングは表面がGFRP加工されている。

 

各種資料

記録飛行のアルバムやスカイスポーツシンポジウムをはじめとした参考資料が並んでいる。

 

展示映像

奥のディスプレイでは紹介映像が流れていた。

内容は三沢航空科学館のYouTubeチャンネルにアップされている。

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動画の最後のメッセージが心に残ったのでこちらに引用します。

飛んでいるのは私ではなくみんなの夢です。今後の人力飛行機の新しいチャレンジを期待しております。

 

その他の展示

YS-11



 

みんな大好き国産航空機YS-11

解説パネルでは、木村秀政先生の略歴の中で人力飛行機トークBについて触れられている。

 

HondaJet 技術実証機

ホンダエアクラフトカンパニーが手掛けるビジネスジェット

展示されているのは2003年に製造された実験機であり、2005年にオシュコシュ航空ショーにて公開された際のものである。

 

大空を飛ぼう

科学館の上空をハングライダーのような姿勢で滑空する

「展示されている飛行機を上から見てみよう」とあるが怖くて下を見れない

前しか見れない

滑空機パイロットに尊敬の念が湧いた

 

動画を撮っていなかったので参考に科学館のリール動画をご覧ください

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博物館情報

住所: 〒033-0022 青森県三沢市三沢北山 158

開館時間: 9:00~17:00

休館日: 毎週月曜日(祝日の場合は翌日)、12月30日~翌年1月1日

入館料: 一般 510円

 

アクセス

三沢空港から車で6分・三沢駅から車で15分

 

土日祝日には三沢市内を巡回する無料バスが運行されている。*3

乗車する際に運転手さんに降りたいバス停を伝える形式。

 

 

 

周辺観光情報

寺山修司記念館

三沢市ゆかりの作家・寺山修司の記念館。

航空科学館からはMISAWAぐるっとバスで約10分。

 

寺山修司の演劇作品『人力飛行機ソロモン』に関する展示

 

私は「速度の歴史」のなかに二つの道があったことを知っている。一つは文明の発達という名の機能的な速度の歴史であり、人間の拡張の理論である。だが、私がとりつかれていたのは、もう一つの速度の歴史であり、それは二輪の足蹴り自転車から、人力飛行機にいたる「役に立たない速度の歴史」である。

 ー 書を捨てよ、町へ出よう (角川文庫)

 

売店に飾られていた人力飛行機ソロモン(模型)

 

オススメお土産『家出のするめ

これを持ってウマ娘のガチャを引いたらミスターシービーが出ました*4

 

参考資料

Chick2000 - 青森県立三沢航空科学館

 

ACTIVE GALS Home Page

CHicK-2000 プロジェクトの概要

CHicK-2000 プロジェクトの活動の纏め

人力飛行機に於けるストレススキン翼開発の背景

人力飛行機 CHicK-2000 における応力外皮構造翼の開発

 

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